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今週の物欲 Vol.3〜 スフォルツァートのDSP Vela Special 〜至高のデジタルオーディオプレイヤー。

2020年04月22日
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オーディオ
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スフォルツァートのデジタルオーディオプレイヤー DSP Vela Special


・価格     約300万円(全世界で3台の限定発売、現在は購入不可能)
・マニアー度  ★★★★★
・レアー度   ★★★★★
・スパルタン度 ★★★★★


以前ご紹介した通り、私はオーディオマニアーなのですが、今回の物欲は日本が誇るハイエンドデジタルオーディオプレイヤーメーカー、スフォルツァート社のDSP Vela Specialです。

このモデルは、色々な意味で特別です。
主催者である小俣さんのお宅を訪れ購入させていただいたのですが、世界に3台しか存在しないとのことでした。ちなみに私が所有するものは2台目だそうです。
レアー度は文句なしの★★★★★、マニアー度も★★★★★です。こういう製品買ってしまう人はかなりの変態基質と明言しても良いでしょう。

そもそも、「デジタルオーディオプレイヤー」という名称自体、そこまで社会に浸透しているとは思えません。
ご存知の方でも、多くの方はこの言葉から携帯型のデジタルウォークマン風のものをイメージされるでしょう。


【こんなイメージ】
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引用元:PhotoAC


しかし、このプレイヤーは本体が13kg、電源部で23kgあります。もちろん携帯などできません。

機能としては、「デジタルファイルの再生」に特化していて、16bit/ 44.1kHzのCD規格から、DSDとかDXDのいわゆるハイレゾ音源をアナログ情報に変換することができます。
ただし、音源を保管しておくハードディスクやSSDは備えていません。もちろん、電流を増幅するアンプの機能もありませんので、ヘッドフォンやスピーカーを接続することはできません。
クロックすらも外付けです!!

つまり、普通の携帯オーディオプレイヤーが持ち合わせている機能のごく一部しか、持ちあわせていないということです。

選りすぐりの部品を用いて超単機能なエンジンを回路構成し、巨大な金属の塊から削り出したマッシブなデザインの筐体に組み込んだという、攻めに攻めたスパルタンなモデルです。
ということで、スパルタン度を★★★★★としました。



スフォルツァートについて〜 世界に誇る、日本のハイエンド・オーディオメーカー


ここで、スフォルツァート社のご紹介を。

スフォルツァート社は、2009年に創業者である小俣氏により設立されました。
翌2010年に、日本初の本格デジタルオーディオプレイヤーであるDST-01を発売。

このカテゴリーでは、既に英国のLINNがKLIMAX DSというモデル名で、デジタルファイルをLANに接続する世界初の製品を発売していました。
小俣氏は、ステレオサウンド誌のインタビューで「LINNのセカンドフォロワーでありたいとすら考えた」とコメントされており、スタートはKLIMAX DSのフォロワーというスタンスでした。

【DST-01】
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しかし、処女作のDST-01では本家LINNでも搭載できなかったDSD対応をいきなり達成。
さらには電源部と本体を別筐体にして、アルミブロック削り出しのマッシブな構成も、この時既に確立されています。
数々のオーディオ誌で、その先進性と音質を評価され賞を受賞、大々的に紹介されました。

現在ではLINNがハイエンドオーディオから事実上撤退し、自社の製品しか接続できない箱庭オーディオメーカーになってしまいましたので、名実ともに世界のトップランナーとなりました。


スフォルツァート社の驚くべきところは、製品の開発・組み立てを全部小俣氏一人でやっているところです。
もちろん、部品やアルミブロックの切削などは外注していますが、回路の設計やアッセンブリは小俣氏自ら行っています。

現在は規模が大きくなり海外にも進出しているため、デザインを外部デザイナーにお願いされていますが、このDSP Vela Specialは小俣氏ご本人がデザインした最後の筐体です。

かつては多くの日本のメーカーが持ち合わせていた起業家精神と、徹底して良いものだけを世に問うというこだわりをこの時代に色濃く残している、稀有なメーカーだと思います。


DSP Vela Specialの特徴〜 マッシブなブラック筐体に収められたハイレゾ対応機


Vela Specialの何が特別なのか。
それは、DSP-01というモデルの筐体に、最新型のDSP-Velaの中身を組み込んだことにあります。

【DSP-01】
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DSP-01は、スフォルツァートが2015年に発売したフラッグシップモデルです。
それまでは概ね60万円〜80万円程度の製品が主力であったにもかかわらず、突如として298万円+Tax(クロック込み)というプライスタグを引っさげて発売されました。

ESS社の当時最新DACチップであるES9018Sを4機搭載し、別筐体の電源は左右アナログ回路用、左右D/Aコンバーター用、デジタル部用、クロック用、CPU用、表示用とそれぞれに独立したトランスを合計8個搭載。
合計容量は700VAという、巷のパワーアンプ以上の電源を奢っていました。
発売当時にそのスペックを見て、驚いた記憶があります。

しかし、DSP-01で最も特徴的だったのは、その外装でした。
アルミブロック削り出しの筐体は、日本でも数社しか切削できないという精密加工。
特に天板は極厚15mmの分厚さに「sfz」のメーカーロゴと通気口を彫り込んだ上、特殊アルマイトを施しました。
小俣氏によると、この筐体だけで100万円(!)以上のコストがかかっていたそうです。
LINNのKLIMAX DSがオモチャに見えてしまうほどの威容でした。

このようにメーカーの威信をかけたフラッグシップモデルでしたが、製品としては短命に終わってしまいます。
それは、発売後間もなく使用していたDACチップがES9038 PROに更新されたためでした。
結局、3年間で数十台ほど販売したのみであえなくディスコンとなってしまいました。

その後、継機として誕生したモデルが、現行フラッグシップであるDSP Velaです。


【DSP Vela】
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DSP Velaは、先述のES9038 PROを片チャンネル1機ずつ搭載し、2017年に発売されました。
この新型DACチップは9018Sに比べて約4倍の電流出力を持っており、その性能を余すところなく発揮させるためには、大規模なI-V変換回路を必要としました。

このため、既存のDSP-01のスペースには回路が収まらず、より大型化されたシャーシ(内寸)へと更新することになりました。
また、価格を約半分に抑えるために筐体を削り出しではなく通常の板金加工に変更、150万円+Taxという良心的な価格に抑えることに成功したのです。(ただしデザインはプロのデザイナーに依頼し、流れるような美しいカーブのフロントパネルを搭載。安っぽさは全くありません)


しかし、小俣氏の手元にはディスコンになったDSP-01の筐体が余ってしまいます。そこでこの筐体に、最新型であるVelaのメカを組み込んだ限定モデルが誕生することになりました。
それが、DSP Vela Specialです。

ただし、先述の通り回路が大型化したため、そのままでは01のシャーシに収めることができませんでした。
小俣氏は工夫に工夫を重ね、縦配置のコンデンサを横向きに変更するなどして、ミリ単位のスペースを確保することでこの中に組み込むことに成功したのです。

カラーに関しても、試験的にブラックを発注されていたようです。
この塗装がまた特殊で、マットな質感で触った際の感触も暖かさを感じさせるものです。
有機的で生き物っぽいというか、これまでにないものに仕上がっています。
ただ、あまりにもマッシブな外観になってしまったため、一般向けに市販されることはありませんでした。


さて、そのスペックは以下のとおりです。

<対応フォーマット>

PCM:
44.1kHz, 48kHz, 88.2kHz, 96kHz, 176.4kHz, 192kHz, 352.8KHz, 384kHzそれぞれ16/24/32bit (固定・浮動)
AIFF, WAV, FLAC, Apple Lossless (352.8kHz, 384kHzは非圧縮のみ対応)

DSD:
2.8MHz, 5.6MHz, 11.2MHz 1bit (dsf, diff)



基本的に、Velaと全く同じ仕様です。
PCMのみならずDSDも11.2MHzまでサポートしており、全てのフォーマットでギャップレス再生に対応します。

注意点としては、AppleのALACなど圧縮音源には一切対応しないこと。
NASが認識していても、まったく再生されません。
劣化した音源に迎合するつもりはさらさら無いという、やっぱりスパルタンな仕様なんですね。


DSP Vela Specialの音〜 まるでスピーカーを変えたかのように広がる音場


実は私は、以前エソテリックのセパレートシステムでCDやSACDを聴いていました。
しかし、7〜8年前にハイレゾプレイヤーとCDプレイヤーを比較する機会があり、ネットワークオーディオの優位性を痛感してスフォルツァートのDSP-03の亜種モデルへと変更しました。

その時点で解像度は大きく改善し、また音場もぐっと奥に広がることを実感したことから、CDプレイヤーは我が家から無くなってしまいました。
一部CDは残してありますが、あくまでもリッピング、すなわちデータ読み込み専用に使用しています。
dcsのヴィヴァルディや、エソテリックのGrandiosoなどの特殊なスーパーハイエンドモデルを除いて、CDではその構造上の問題からネットワークオーディオに対抗することは難しい、というのが私の持論です。

Vela Specialに関しても、既にネットワークオーディオを導入していたことから、音場や解像度が大きく向上することはないだろうと考えており、どちらかと言うと質感の向上を期待してシステム変更を行いました。

DSP-03とVelaではランクが1つ違うだけですし、そこまで大きな期待はしてませんでした。
そのため、あまり深く考えず、敢えて試聴もせずに即決で小俣氏から購入したのです。

しかし、その予想は大きく裏切られる結果となりました。


最初の一音を鳴らした時から、部屋の空気が一変してしまいました。
音場の広がり方がぜんぜん違うのです。

それまでは、左右のスピーカーの間で音楽が構成されていました。
スピーカーの内側に楽器やボーカルが並び立って、きれいに音楽を鳴らすという印象でした。

しかし、Vela Specialに変えた途端、スピーカーの外側にも内側と同じくらいの密度でオーケストラが出現しました。
高さ方向も2倍位に音場が広がり、天井付近からも音が降ってくるようになりました。
まるで部屋がホールになったような感じ。


以前、ダイナミックオーディオで聴いて感心した、マジコ(確かQ5)とdcsのヴィヴァルディのフルシステムの組み合わせに匹敵するような音場の出方でした。
正直なところ、我が家のKtemaからこのようなステージが再現されるとは思っていませんでした。
本当にスピーカーを変えたかのような変化でした。

音の質感や解像度も、DSP-03とは別次元です。
低域から高域まで、これまで聞こえなかった音がビロードのようにびっしり敷き詰められているようです。
女性ボーカルだと、歌手が歌ってるときの眉間のシワまで見えそうな感じ
ここまで格が違うとは・・・。

ちなみに通常のDSP-Velaは、もう少し優しい印象の音です。
Vela Specialはより力強く、より緻密で音像もビシッとしていると感じます。
両者は電源に違いがあり、Vela:400VA、Vela Special;700VAと2倍近い差がありシャーシも異なりますが、それ以外はすべて同じ構成です。
それでもキャラクターは大きく異なってくるというところが、オーディオの面白いところですね。


正直なところ、たかだかデジタルオーディオプレイヤー(失礼!)でここまで音が変わってくるとは思っていませんでした。
もちろん我が家のオーディオはある程度システムを追い込んでいますし、追い込めば追い込むほど加速度的に音が変化してくるのがオーディオの面白いところですが、それにしても極端に大きな向上幅があった、と感じています。

なお、上記は通常のLANネットワークであるDLNA接続に対する記述であり、話題のDirettaによる再生についてのレビューは改めて別記事でご紹介したいと思います。
また、クロックもDSP-05に付属するおまけ程度の10Mクロックを使用していますが、これをエソテリックのマスタークロックに変えた際のレビューは別途記載する予定です。
(ここでも思いもよらぬ向上幅が・・・)

結論的なもの


デジタルオーディオプレイヤーやネットワークオーディオプレイヤーは、2007年以降に誕生した新しいカテゴリーです。
この間にLINNがハイエンドオーディオから撤退したり、ストリーミングが誕生し急速に普及したりと、目まぐるしく環境は変わってきています。

しかし、このDSP Vela Specialというモデルはその中にあってキラ星のようなマイルストーン的製品であり、オーディオの歴史にその名が刻まれてもおかしくないと感じたため、無理をして手に入れることにしました。
それがきっかけで小俣氏と知己を得ることとなり、何度か訪問させていただき試聴室で一緒に様々な実験も付き合ってもらえました。

新しい音楽体験と貴重なネットワーク・経験を同時に得ることができ、今振り返っても幸運だったなあと思います。
「幸運になれる物欲」なるものが存在するということが実感できる、私にとっては素敵なプロダクトでした。

通常のVelaは現在もオーディオ店で聞けますし購入できますので、ご興味を持たれた方は是非足を運んでお聴きください。
 
 
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Posted by butsuyoku-weekly
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