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今週の物欲 Vol.7〜 FinalのD8000 〜世界唯一の技術を採用したハイエンドヘッドフォン。

2020年05月21日
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オーディオ
finalの国産最高峰ヘッドフォン D8000

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・価格     388,000円(Pro、2020年7月現在 購入可能)
・マニアー度  ★★★★★
・レアー度   ★★
・技術革新度  ★★★★★


実は私はヘッドフォンマニアーなのですが、今回の物欲はfinalという会社の平面磁界型ヘッドフォン、D8000です。

finalという会社は、オーディオマニアーにとっては懐かしい名前です。

かつて日本で異常なほどのオーディオブームが到来し、高額機器が飛ぶように売れていったバブルの時代。超弩級のターンテーブル(レコードプレイヤー)などマニアックな製品を数々生み出した後、密かに表舞台から遠ざかります。しばらく名前を聞かない時期がありましたが、近年ヘッドフォン・イヤホンメーカーとして見事復活。

後述しますが、D8000は普通のヘッドフォンとは一線を画した、特殊な技術を採用した製品です。
この技術を実用化・製品化できているのは2020年現在、世界でもFinal社だけ。

この点を評価して、マニアー度は★★★★★、現在もネットで買えますのでレアー度は★★、技術革新度を★★★★★としました。


AFDS・平面磁界型〜 ヘッドフォンの常識を変えた革新的技術の開発

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D8000の何が革新的なのか。秘密は、finalが開発に成功したAFDS・平面磁界型の構造にあります。

一般のヘッドフォンは、スピーカーでも一般的なダイナミック型か静電型(コンデンサー型、平面磁界型)に大別できます。
ダイナミック型は、音楽信号をダイアフラムに入力することで振動させ、音を出します。
そして静電型は、薄い膜状の振動板を静電気で振動させて音を出します。

ダイナミック型は主に密閉型の構造を採用し低音を稼ぐことができる一方で、不要な振動がハウジング内に残るために若干音が濁る傾向があります。
一方、静電型は背面開放で音が抜けるため、S/N比を高めることができます。しかしながら構造上低音を出しにくいという欠点があります。
この辺りはスピーカーでも全く同じ傾向がありますね。
ちなみに私は20年以上静電型のスピーカーを使っており、静電型の音が圧倒的に好みです。

近年のヘッドフォン業界においては、静電型こそがハイエンドという認識が一般的です。
メーカーでいえば、世界初の静電型ヘッドフォンの発売に成功し長年業界をリードしている日本のSTAXや、ドイツのULTRASONE、同じくドイツのゼンハイザーなどがあります。

これらのメーカーのトップモデルは、軒並み30万円以上。
ヘッドフォンの用途を考えると私は異常なまでの高騰だと感じているのですが、世の中ではこれらの高額モデルが飛ぶように売れています。
オーディオメーカーでもヘッドフォンやイヤホンは今や主力商品で、例えばソニーはここ何年もフロアスピーカーを開発していませんが、ヘッドフォンやイヤホンは毎年新製品を発売しています。

世の中の音楽の聴き方が変わったんでしょうね・・。
家族と一緒に聴くのではなく、個人の部屋で楽しむ。大掛かりなシステムではなく、こじんまりとして場所を取らないコンポへ。
オーディオシステムの総重量が1tを超える我が家では考えられない話ですが、ともかく世の中の流れはそちらに向かっているようです。


話がそれました。

AFDS・平面磁界型は、エアフィルムダンピングシステムの略称です。
その名の通り、エアフィルムで振動板のダンピングを制御する構造になっています。
具体的には、振動板をパンチングメタルで挟み込むことで空気の動きを制御し、マグネットに接触させないようにしています。
これにより、最大振幅を稼いで静電型がマグネットに触れてしまうような振幅でも作動することが可能にしました。
結果として、静電型にも関わらず深い低音を再現できるようになったのです。

もちろん、過去に例がない技術であり生産難易度も格段に上がったため、開発には3年という長い期間を要しました。
こういった革新的な技術に果敢にチャレンジする姿勢は、とてもカッコいいと思います。
日本の大企業も是非見習ってほしいところですね!


D8000の仕様〜 果たしてここまでやる必要があるのか?

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次に、D8000のパッケージについて触れたいと思います。

製品を注文すると、メチャクチャでかい箱が届きます。
ダンボールは二重箱になっていて、ダンボールの中にワニ革を意識した黒い箱が入っています。
現行のfinalの製品は、原則としてこの黒ワニ革の箱を使用しており、まあ高級感があります。

そして黒箱を開封すると、さらにダンボールが。
開封する順番で番号が振られており、1を開ける→2を引っ張る→3を・・・という必要なアクションが視覚的に分かるようになっています。

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正直、ここまでの梱包は必要ないと思います。
普通に発泡系の梱包材でいいです・・。別に50kgのアンプを梱包してるわけではないですし。
まず間違いなく、マーケティングの意味合いが強いのだと思います・・。
競合がお金かけてパッケージングしてるから、同じ価格帯で出すなら同じかそれ以上のことやらないと〜的な発想ですね。
GucciやPRADAみたいに、モノを買うのではなくブランドという価値を買うんですよ、という。

不要です。いりません。
これなら簡易包装にして、5,6万円下げたモデルも併売してほしいと心底思います。
こんなことやってるから、ヘッドフォン関連はどんどんインフレが進むんですよ。
もっと本質で勝負してほしいですね。

さて、パッケージに付属するものは本体の他に以下があります。


・3.5mmプラグのケーブル(1.5m)
・6.3mmプラグのケーブル(3m)
・ヘッドフォンスタンド
・保証書類

付属するケーブルは上質です。
プラグは金メッキ、ケーブルはOFCでまあまあ太いですが撚り線構造のため、柔らかく取り回しは非常に容易。
ただしバランス端子には対応しないので、どうしてもバランス接続したい場合は銀線を使った純正品か、社外品から選ぶことになります。
個人的には低音が銅線の方が好みで、標準ケーブルで聴く機会が多いですね。
ヘッドフォン側のプラグがちょっと特殊ですので、社外品を選ばれる際にはご注意ください。

そして、ヘッドフォンスタンド。これはちょっといただけません・・。
アルミの削り出しを使っており、確かにコストはかかってそうなのですが、スタンドが本体の金属部分と接触するんですね。
長く使っていると、本体のハンマートーン調の塗装が剥がれてくる恐れがあると思います。
たしかに純正のスタンドは収まりが良いのですが、スタンドに設置したときの「ガチッ」という感触がどうしても嫌で、結局社外のスタンドを購入してしまいました。
ここはメーカーにもうちょっと考えてほしかった部分です。

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まあしかし、国産のヘッドフォンでは削り出しの金属スタンドまで付属することはまれですし、ケーブルの質を考慮すると最高峰であることは間違いないとは思います。


D8000の装着感〜 上質で違和感の少ない構造


本製品は結構重く、523gあります。
装着してみるとつけていることを忘れるようなことはなく、重さは感じます。
ただし、柔らかい上質なレザーで仕上げたバンドに違和感はなく、長時間聴いても疲れることは少ないです。

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イヤーパッドも流石にこだわっており、装着した際の不快感は皆無。
熱がこもることもほとんどないです。
しかし、私が持っているD8000では通気性に優れた発泡体とポリウレタン系の特殊繊維を使用したFタイプで、若干耐久性に難があり破れやすく感じます。
個人的には、東レのウルトラスエード素材を採用したGタイプが好みです。
次回買い替えの際には、Gタイプを選択したいと思います。
このようにユーザーに選択肢を用意しているあたりは、素晴らしいですね。

D8000の音質〜 かつて聴いたことのない低音


いよいよD8000の音質です。
アンプにアキュフェーズのプリ、再生系はスフォルツァートのVela Specialという構成で、音源は主にハイレゾで聴いてみます。接続は6.3mmの端子を仕様。

一聴して感じるのは、静電型の美しい中高域と、それに以外なほどマッチしたスピードの早い低音。
特に低音は、静電型(平面磁界型)としては類例がないほど伸びています

周波数特性でいえば、35-40Hz近辺までははっきりと聴き取れます。
一般の静電型では概ね60Hz、良くても50Hz程度で飽和していたことを考えると、驚異的な再現性。
実はハイエンドの静電型ヘッドフォンよりも安価な密閉型のイヤホン等の方が低音が出ていたりするものですが、それらとは全く次元の違う低音です。音に濁りがありません。

この音色は以前使用していたフルサイズの静電型スピーカー、QUADのESL2905を思い出させます。
このスピーカーは高さが1.5mくらいありましたが、このサイズで40Hzくらいの再生がギリギリできるレベルでした。
ESL2905はペアで300万近い値札がついていましたが、D8000はそれと比較しても遜色ない音楽の再現性を持ち合わせています。
もちろんヘッドフォンですので脳内定位にとどまり、ステージは再現できず迫力では劣るのですが、解像度ではむしろ勝る印象。

再現性のレベルの高さを考えると、30万円台でこれが手に入るというのはむしろ安いのかもしれません。
50〜100万円クラスのスピーカーでは、ちょっと太刀打ちできないでしょうね・・。
150万円クラスのスピーカーと比較しても、いい勝負をすると思います。
さすがに我が家のクテマとの比較では、中高域の解像度以外で勝てる部分はないなと思いましたが、しかし良い製品です。


クラシック、ジャズ、ポップス、ロックと特に音源は選ばないかと思います。
強いて得意なジャンルを選ぶとすれば、私は女性ボーカルを挙げたいと思います。
ハイレゾのダイアナ・クラール 「Desperado」では、彼女の発生する直前の息遣いまで感じ取ることができました。
ピアノも低域から高域まで素晴らしい質感で再現します。
Uruの「フリージア」でも、まるで全ての音が聴こえてくるように感じるほどの、音数の多さを実感しました。

爆音でメタルをガンガン聴くという方にはオススメしませんが(そういう方はそもそも静電型を選ばないと思いますが)、常識的な範囲で音楽鑑賞を楽しむ方はどなたでも楽しめると思います。

結論的なもの


finalのD8000というモデルは、これまでのヘッドフォンというカテゴリーにおいてブレイクスルーを起こした破壊者です。
40万円近い価格設定には賛同しかねますが、ある一面ではむしろ安いとすら思える圧倒的な性能を持ち合わせています。
こういう製品が世の中に普通に出てくると、ヘッドフォン愛好家が増えるのも確かに理解できます。
スピーカー至上主義の方も、是非一度視聴されることをオススメします。私も本気を入手してから、もっと真剣にオーディオに取り組まないといけない、と気を引き締めました。
それだけの価値がある製品です。

最後に、素晴らしい音響機器を開発してくださったfinalの技術陣に、拍手を送りたいと思います。
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Posted by butsuyoku-weekly
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